今朝も、引き続き、Metzger教授( http://en.wikipedia.org/wiki/Gillian_E._Metzger )の文献
「PRIVATIZATION AS DELEGATION」の研究です。
民営化にはさまざまな形態があります。憲法上問題となることが多いのは、政府の政策(government program)を全て解散してしまったり国営企業を売却することにより政府が全て当該事業より手を引く場合より、government programを実行するために、私的主体(private entities)を活用したり、政府のかわりとなる主体に対して何らかのサービスを提供している場合であるとのことです。「This form of privatization is far more constitutionally troubling.」とMetzger教授は述べておられます(※1)。
※1)Gillian E. Metzger「Privatization as Delegation.」COLUMBIA LAW REVIEW Vol. 103:1367、 2003年、1370頁。
日本にあてはめると、私の論文や仕事にかかわる問題ですと
・今年制定された「青少年ネット規制法」の民営化事業
・建築確認業務の民営化
があげられますが、その他にもMetzger教授が指摘しておられる民営化形態に該当するものも存在すると思われます。
Metzger教授は、医療プログラムの問題などを当論文で取り上げておられます。アメリカにおいては、自己破産に追い込まれる方の原因は、少なからず高額の医療費であるとのことです。
余談ですが、日本でも、家族等が高額な治療費を支払うために、消費者金融業者等から借金し、その返済をするために他の業者等から借金することとなり、結果的に多重債務で取り返しの付かない状況に近い場合もあります。
その場合に、司法書士等の専門家に相談し、自己破産の選択ではなく、任意整理による債務整理の方法もとりうるにもかかわらず、「債務整理=自己破産」と思い込んでいる方も少なくなく、「破産は職業上などの理由でいやなので、破産を勧める専門家には相談したくない」という正しいとは思われない道を選択することで、さらに取り返しのつかない状況に陥ってしまいがちだと思います。
民営化と憲法上の問題について、ステイト・アクション法理を適用し考察する上では、Metzger教授が
「the “state action” requirement is derived from the Fourteenth Amendment’s
express textual reference to state governments」(前掲同頁脚注)
と述べておられる通り、ステイト・アクション法理が合衆国憲法修正第14条(デュープロセス条項)で表現されている内容に由来することから、同条項の意味を理解しなければならないと思われます。
すなわち、アメリカ憲法界での「手続的デュープロセス法理の爆発」とか「政治を巻き込んだ実体的デュープロセス法理論争」など、英米法で学ぶ内容の理解が求められることになりますね。
急がば回れの精神で、論文や英米法について、毎日できることを取り組んでいきたいと思います。
”Trust in the LORD with all your heart and lean not on your own understanding;
in all your ways acknowledge him, and he will make your paths straight.
Do not be wise in your own eyes; fear the LORD and shun evil.” (Proverbs 3:5-7)
「心を尽くして主に拠り頼め。自分の悟りにたよるな。
あなたの行く所どこにおいても、主を認めよ。そうすれば、主はあなたの道をまっすぐにされる。
自分を知恵のある者と思うな。主を恐れて、悪から離れよ。」 (箴言3:5-7)