ようやく、つい先ほど本年2008年の仕事に区切りをつけることができました。今年も数多くの皆様には、さまざまなご高配を賜り、心より御礼申し上げます。一年の最後の日の感想としては、昨年、一昨年と変わらない気持ちです。
●2007年12月31日のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kmdbn347/27962950.html
Metzger教授の文献(「PRIVATIZATION AS DELEGATION」)の研究についても、まとめていきたいと思います。当論文では、同一事件について、既存のステイト・アクション法理と当教授の提唱する法理をそれぞれ適用した場合の結果の差異についても1487頁以降で述べておられますので、さらに当法理を詳しく研究するための教材としても優れていると思いました。
民営化が進行する現代のステイトの概念に一致させるために新しいステイト・アクション論(「A NEW PRIVATE DELEGATION ANALYSIS」)を提唱するのが、コロンビア大学のGillian Metzger教授でした。
思うに、Metzger教授は、政府と私的主体との間における権限委譲関係(agency relationship)と、私的主体の構造に注目し、民営化の私的主体(private entities)の行為ではなく、私的主体が政府により適切な権限委譲や構築がなされたかどうかについて、憲法上の審査を適用することが可能であるとしています。
私的主体は、政府より政策についての責任(responsibility for government programs)を課せられており、私的主体の構造も実質的に政府主導で決定され、かつ排他的に構築されることが一般的であると思われます。
したがって、私的主体の行為により市民に対して何らかの人権侵害が発生した場合には、私的主体の行為の効果が政府によるもの(state action)と同一視できるかどうかなど、私的主体に対して直接憲法上の制約を審査するだけではなく、私的主体の事業の前提となる法令や私的主体の行為の調整含め、適切な管理に対する義務を政府に課すことができると解します。
わが国における民営化の先進国であるアメリカにおけるステイト・アクション法理も、エマスンが提唱するような形式的保護から実質的保護へ再構成されていると思いました。
今後は、時間をみつけて英米法関連の研究を継続していきたいと思います。
では、皆様良い新年をお迎えください。
”Rejoice in the Lord always.”
「いつも主にあって喜びなさい」 (ピリピ4:4)