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自己啓発や聖書に関する事等掲載中。引用聖句:新改訳聖書©新日本聖書刊行会 英文聖句:New International Ver.

民営化と憲法上の問題 - 新しいステイト・アクション法理の研究 その5

 引き続き、Metzger教授の文献(「PRIVATIZATION AS DELEGATION」)の研究です。いよいよ既存のステイト・アクション法理へ鋭く切れ込みはじめます。

”central question is how well current state action doctrine succeeds in ensuring constitutional accountability in a world of privatized government. In what follows, I argue that current doctrine is fundamentally ill-suited to this task, because it ignores the way that privatization gives private actors control over government programs and resources, focusing instead on identifying government involvement in specific private acts. As a result, current doctrine is a very poor measure of when government power is being exercised.”
(Gillian E. Metzger「Privatization as Delegation.」COLUMBIA LAW REVIEW Vol. 103:1367、 2003年、1410-1411頁。 )

 ”current doctrine is fundamentally ill-suited”

 ”current doctrine is a very poor measure”

 と指摘するMetzger教授は、表面的な形式によりステイト・アクション法理を適用するのでは、今日の複雑に進行する民営化にはとても不十分であると主張していると思われます。

 ここで、「形式的」と「実質的」という側面に着目してみたいと思います。
 法の下の平等」とステイト・アクション法理 について着目した以前のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kmdbn347/35342111.html

においては、「配分的正義」("distributive justice")の実現を主とするエマスンの論理を適用して考察しました。昨今の民営化とステイト・アクション法理の問題についても、その要件の充足については、形式的な要件の充足だけではなく、市民の人権の実質的保護の視座から再構成すべきであると解します。


 Metzger教授は、続けて、従来と異なる「民営化の法理」について言及しています。
”I close this section with a brief examination of another constitutional route to dealing with the concerns raised by privatization―private delegation doctrine―which addresses whether and when it is constitutionally permissible for government to delegate certain powers to private actors.”
(Gillian E. Metzger, supra at 1411)

 ところで、「private delegation doctrine」といえば、「民営化の法理」についてドイツ法を切り口とした熊本大学准教授大脇先生の以下の論文が参考になりますね。民営化と「基本権保護義務」論についても分かりやすく論述しておられると思いました。
https://qir.kyushu-u.ac.jp/dspace/handle/2324/2142

 このような研究を継続していますと、学んでは壁に当たり、その壁を乗り越えたかと思うとまた新たな壁に当たるように思います。何十年と一つの分野を研究し続けることは決して容易ではありませんので、従来の私では深く足を踏み入れたいとは思わない分野であったもの事実です。

 しかし、浅学の身ながら、こうしてひとたびその場に身を置き始めると、まんざらでもない気持ちになるのも不思議ですね。

 いつか、再び英米法N先生の講義を直接受けることができる日に導かれることも心のどこかで期待しつつ、反面、それにはまだまだ実力が足りないことも自覚しつつ、今はまず自分の足元を見つめ、自分自身に背伸びすることなく、着実に英文を読み続けたいと思います。



茨城県牛久市の教会でのクリスマスイベンド情報
http://www.mmjp.or.jp/ushiku-fukuin-kyokai/event.html

 牧師先生はもちろん、集っておられる皆様は本当に心があたたかい方ばかりでして、集うと心が和む教会です。昨年、教会の隣接地に会堂建設用地を新しく取得することができたこともあり、今後ますます発展していかれることを祈ります。茨城県在住の方、あるいは茨城県寄りの常磐線沿線在住の方で、ご自身が思うような教会に出会えていない方には、おすすめの教会です。


”Cast your cares on the LORD and he will sustain you;
he will never let the righteous fall.” (Psalm 55:22)

「あなたの重荷を主にゆだねよ。主は、あなたのことを心配してくださる。
主は決して、正しい者がゆるがされるようにはなさらない。」