「表現の自由」といえば東京大学名誉教授の奥平康弘先生。奥平先生の著書を勉強するたびに、「知的興奮」を覚えます。
『「表現の自由」を求めて ― アメリカにおける権利獲得の軌跡』岩波書店(1999)から、数多くのことを学ぶことができています。以下、本書より抜粋して記載します。
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そもそも、社会支配体制の構成員たる巨大法人やそれに従属するもろもろの企業法人など、個人に比べて格別に発言力のつよい会社組織に、個人と平等な発言の機会を与えることが、「表現の自由」にとっていいことなのか。歴史的にみて正当視されうるのか―憲法学界では大いに議論されているテーマである。(本書340頁)
マスメディアも、マス(大衆)を相手にした大量生産型のものであればあるほど、社会支配体制の一環に組み込まれた存在となる。そのマスメディアが、外から介入なしに自律的に「編集の自由」「編集権の独立」を行使することが、そもそも「表現の自由の本来的コンセプトに適合的なのかどうか。(本書341頁)
むしろ歴史的に本来アメリカの人びとが作り上げてきた「表現の自由」を、その本来の姿においてとらえなおし、デフォルメしてしまった「表現の自由」とは別な「表現の自由」を再構築すべきだという主張がある。いや、この立場こそ憲法学界の主流になっていると言っても過言ではない。(本書341頁)
従来の問題の局面、すなわち、人びとがそのために犠牲を払いながら挑戦し獲得してきた表現の自由の文脈とはかなり異なるところで、同じ表現の自由を主張するばあいには、それを念仏みたいに唱えるのではなく、その歴史的な性格に適切な形で再構成して語る工夫が必要だろう(本書347頁)
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私の研究テーマはインターネット検索と憲法21条(および合衆国憲法修正第1条)にフォーカスをあてた研究です。「表現の自由」についてこの道40年の奥平先生から、数多くのことを学ぶことができる幸いに感謝します。簡単に研究成果がでるとは思っていませんので、日々できることを一歩一歩積み重ねていきたいと思います。
”So do not fear, for I am with you; do not be dismayed, for I am your God.
I will strengthen you and help you; I will uphold you with my righteous right hand."
「恐れるな。わたしはあなたとともにいる。たじろぐな。わたしがあなたの神だから。
わたしはあなたを強め、あなたを助け、わたしの義の右の手で、あなたを守る。』(イザヤ書41:10)