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法人税法違反,証拠隠滅教唆被告事件:最高裁判例より

 「将来」にむけて少しずつ判例知識を蓄えておくのもよいかと思い、過去一ヶ月以内の最高裁判例を閲覧していました。最新の判例は、

 平成18年11月21日付け
 「平成17(あ)302 法人税法違反,証拠隠滅教唆被告事件」
 
 あってはいけない事件ですが、よく耳にする事件でもあるので、それらと何が異なり、何がこの裁判の争点なのかと興味を持ちました。

1.事件概要
 (1)株式会社Kの代表取締役であるる被告人は、架空仕入れを計上するなどの方法により所得を秘匿し、虚偽過少申告を行って法人税をほ脱。

(2)K社に国税査察調査が入るに及び、これによる逮捕や処罰を免れるため、知人のAに相談した。

(3)Aは、証拠隠滅方法を被告人に教示し、被告人にこの提案を受け入れることを強く勧めた。

(4)Aの本件証拠偽造の提案に対して、被告人が承諾してその工作の実行をAに依頼し、法人税法違反に関する証拠偽造を遂げた。

(5)Aは、被告人から上記証拠偽造その他の工作資金の名目で多額の資金を引き出し、その多くを自ら利得していることが記録上うかがわれた。

2.争点

 被告人の依頼により証拠隠滅方法を提案し、かつ多額の資金を被告人から引き出していたAに対しても、被告人が本件証拠偽造を教唆したものとして、証拠隠滅教唆罪の成立を認めるかどうか

3.判決結果
 証拠隠滅教唆罪の成立を認める

4.判決のポイント

(1)本件において、Aは被告人の意向にかかわりなく本件犯罪を遂行するまでの意思を形成していたわけではない。

(2)Aの本件証拠偽造の提案に対して、被告人が承諾してその工作の実行を依頼した。

(3)その依頼によって、提案通り犯罪を遂行しようというAの意思を確定させたものと認められる。

(4)被告人の行為は、人に特定の犯罪を実行する決意を生じさせたものとして、教唆に当たる。

最高裁判所ホームページより
http://www.courts.go.jp/saisinhanrei.html