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自己啓発や聖書に関する事等掲載中。引用聖句:新改訳聖書©新日本聖書刊行会 英文聖句:New International Ver.

不法行為による損害賠償請求権の期間の制限(民法724条)後段に関する画期的な判決(本日4月28日付)

 長年にわたり除斥期間説と時効説での争いがあった民法724条後段(注1)についての、被害者側を救済する画期的な判決が本日出ました。

 しかも、大きな問題となっていた平成元年判決(注2)についても、「変更されるべきである。」とまで示されました。

※注1)民法724条(太字が後段)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法的代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。


※注2)平成元年判決(不発弾に関する国家賠償事件)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25870&hanreiKbn=01
民法七二四条後段の規定は、不法行為による損害賠償請求権の除斥期間を定めたものである。」とした最高裁判決。


 本日判決があった事件(注3)は、(事件当時図工教諭であった)殺害された女性の有していた権利義務を相続した遺族が、殺人事件の加害者に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求する事案であり、不法行為から20年が経過したことによって、民法724条後段の規定に基づき損害賠償請求権が消滅したか否かが争われた事件です。

 
 
●注3)損害賠償請求事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37556&hanreiKbn=01
「殺人事件の加害者が殊更に死体を隠匿するなどしたため,被害者の相続人が死亡の事実を知り得なかった場合において,相続人確定時から6か月内に権利が行使されたなど特段の事情があるときは,不法行為に基づく損害賠償請求権は除斥期間により消滅しない」とした最高裁判決。


 以下、全文( http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090428130810.pdf )より引用させていただきます。


 最高裁は、「民法724条後段の規定を,除斥期間と解する場合には,本件に典型的に見られる如く具体的妥当な解決を図ることは,法論理的に極めて難しく,他方,時効期間を定めたものと解することにより,本件において具体的に妥当な解決を図る上で理論上の問題はなく,また,そのように解しても上記のとおり不法行為法の体系に特段の支障を及ぼすとは認められないのであり,さらに,そのように解することが,今日の学界の趨勢及び世界各国の債権法の流れに沿うことからすれば,平成元年判決は変更されるべきである。」

とした上で、実務上の問題として下級審が民法724条後段を除斥期間と解する運用をしていた点について、以下のように述べました。

 
 「なお,実務上は,上記の平成元年判決を受け,その後の下級審裁判例が,民法724条後段の規定を除斥期間と解する運用をなしているところから,ここで上記判例変更をなす場合には,一定の混乱が生じかねない可能性がある。しかし,上記の判例変更の結果を受けて真に救済せざるを得ない事案は,社会的には極く僅かに止まり,また,それは個別に対応することが可能であると推察されるのであって,判例変更が社会的に相当な混乱を引き起こすおそれはないと思われる。」

 民法724条後段に関する学説の争いについては、慶應義塾大学法学部通信課程の債権各論レポート課題の一つだった関係で、本件判決についてはとても興味深く拝読しました。

 ご遺族の方々におかれましては、ご冥福を祈るばかりです。



※本日のボイストレーニング(10日目)
・V字腹筋 50回
・背筋 50回(今朝から背筋も始めました。V字腹筋ばかりですと、身体がくの字になりそうですから)
・舌をリラックスさせて発声


”Anyone who does wrong will be repaid for his wrong, and there is no favoritism.”
(Colossians 3:25)

「不正を行う者は、自分が行った不正の報いを受けます。それには不公平な扱いはありません。」
(コロサイ 3章25節)