私の学力では「私人間効力」までは無理という結論がでてしまうかもしれませんが、そういう結論が出るまでは、最後まできちんと自習したいと思います。
ということで、しばらく私人間効力と人権の問題について検討していきたいと思います。
これまで、憲法に関するさまざまな文献に目を通してきましたが、ドイツの基本権保護についての田口精一先生の『基本権の理論』、小山先生の『基本権保護の法理』『基本権の内容形成』はもちろんですが、
長谷部恭男先生の『憲法』新世社、2008年
が、私にとってはかなり心を打たれる文献でした。以下は、長谷部先生の『憲法』134頁、135頁より。
憲法の保障する基本的人権は、公権力との関係で国民に保障されるものであるとするのがこれまでの受け止め方ですが、今日の社会では、巨大な社会的権力(会社など)による私人の権利侵害をも憲法で規制するという要請も生まれていますね。
通説は、私法上の概括条項(民法90条)などを、憲法の趣旨を勘案して解釈しその条項を適用して、間接的に私人間による行為を規制しましょうという「間接適用」説です。
それに対して、直接適用説は、憲法上の権利条項は一般的に直接私人間にも適用されるものとしていますが、以下の問題が指摘されています。
1.私的自治の原則を大きく損なうおそれがある。
2.国民の権利を公権力に対して保障する近代憲法の趣旨を希薄化させる。
3.公権力による私人間への介入を広く認めることにより、私人の自由が制限されるおそれが発生する。
しかし、人権規定の効力が相対化されるとの立場をとれば、直接適用説も間接適用説も相違はほとんどないと指摘されています。
そもそも、憲法上の権利条項を「適用」するとは、どういう意味なのでしょう?
ここが最重要ポイントの一つですね。
ここが分かっていないと、この私人間効力の問題を表面的な内容でしか理解できないことになりそうです。
長谷部先生の『憲法』、私があえて述べるまでもなく、本当に素晴らしいです・・・。
今まで以上に勉強し、これまでの学説・判例にしっかりと耳を傾けることで、「知らずに恥ずかしいことを論じていた・・・」ということを少しでも防ぎたいと思います。
"He who answers before listening ― that is his folly and his shame. " (Proverbs 18:13)
「よく聞かないうちに返事をする者は、愚かであって、侮辱を受ける。」