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自己啓発や聖書に関する事等掲載中。引用聖句:新改訳聖書©新日本聖書刊行会 英文聖句:New International Ver.

インターネット検索事業者と「国の基本権保護義務」その4: Dworkin&Rights as Trumpsの視座より考察

・・・インターネット検索事業者と「国の基本権保護義務」その3
http://blogs.yahoo.co.jp/kmdbn347/34806478.html
の続きです。

 では、「切り札」としての人権(Rights as Trumps)を広めたロナルド・ドゥオーキン先生の文献から、

ストリートビューに関する「表現の自由」&「営業の自由」 vs. 市民の人権 

というこの私人間の権利の対立についての、国の役割に関する(と思われる)ところを引用してみたいと思います。

 ロナルド・ドゥオーキン先生は、Ronald Dworkin『Taking Rights Seriously』(Gerald Duckworth、1977年)で、次の通り述べておられます。

Citizens have personal rights to the State's protection as well as personal rights to be free from the state's interference, and it may be necessary for the Government to choose between these two sorts of rights.
(Dworkin, supra at 193.)

 「市民は国家の干渉から自由である個人的権利と同時に、国家から保護をうける個人的権利をも有している。したがって、政府がこれら二種類の権利のどちらかを選択しなければならない場合もあるだろう。」


If the Government makes the right choise, and protects the more important at the cost of the less, then it has not weakened or cheapened the notion of a right; on the contrary it would have done so had it failed to protect the more important of the two. So we must acknowledge that the Government has a reason for limiting rights of it plausibly believes that a competing right is more important.
(Dworkin, supra at 194.)

 「そして政府が正しい選択を行い、より重要でない権利を犠牲にしてより重要な権利を保護したとすれば、政府は権利観念を弱めたり軽んじたことにはならず、むしろ逆に、両者のうちより重要な権利を保護しなければ政府は権利観念を弱め軽んじたことになる。それ故、もし政府がそれなりの根拠に基づいて、競合する一方の権利をより重要なものと判断したのであれば、政府が権利を制限することには正当な事由が存在することを我々は認めねばならない。」

※翻訳文は、ロナルド・ドゥオーキン(木下毅・小林公・野坂泰司訳)『権利論〔増補版〕』木鐸社、2003年、257頁より引用させていただきました。

 
以前 このブログで記載した「切り札」としての人権について(その1&その2)
http://blogs.yahoo.co.jp/kmdbn347/34771207.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kmdbn347/34771206.html

で長谷部先生などがおっしゃっている「切り札」としての人権論を適用するとすれば、国が保護するべき権利は、市民のプライバシー権ということになると解します。特に、次の部分がポイントとなります。

 「メディアによる私人に対する名誉毀損やプライバシー侵害に関して、『表現の自由』対『プライバシー』といった形で憲法上等しい価値の間での選択を問題にするのではなく、メディアが有する表現の自由は『憲法上の権利』にすぎないのに対して、個人が有する名誉やプライバシーなどは『切り札』としての『人権』に属するという形で、後者の優先性を導き出すことが容易となる。」
(阪口政二郎「切り札としての権利」長谷部恭男編『憲法本41』平凡社、2001年、328-329頁。)


 では、そろそろ小山先生の国の基本権保護義務論を具体的な事例に当てはめて考察していく時がやってきました。次回+αで、私の学士論文の結論をまとめていきたいと思います。



●大谷牧師先生の最新コラムより;「知恵者中の知恵者」
http://www.gvbc.info/pastor/pastor-oct2008-01.html

 なかなか大谷先生がおっしゃる通りにはいかない私ですが、聖書を学び、生きていくための大切な「みことば」を心にたくわえていけるよう、日々努力をしていきたいと思います。

"I have hidden your word in my heart that I might not sin against you. "(Psalm 119:11)
「あなたに罪を犯さないため、私は、あなたのことばを心にたくわえました。」(詩篇119:11)。