新しい信託業法 （入学申込時のレポートを作成する際にも読みました）

　
『Q&A　新しい信託業法解説』

　約１年前に購入して勉強した本です。慶應義塾大学法学部通信教育課程への入学申込時のレポートを作成する際にも読みました。不動産ファンドや知的財産ビジネス関係者にとっては特に、信託業法の改正はそれなりに影響が出ていると思います。信託スキームが当たり前のように用いられていますので、既にお読みになった方も少なくないと思います。

　金融庁が今春、某信託銀行に対して不動産流動化業務を禁止する一部業務停止命令を出したのはご周知の通りです。あるストラクチャード・ファイナンス案件（結果的にディール不成立）を担当した際、当該信託銀行とも詳細打合せをしました。とてもご優秀なご担当者がいらっしゃったと記憶していますので、とても残念です。これを契機に、今後はよりよい信託スキームをご提供いただけることを期待してやみません。誰でも失敗はしますので。

　本書にも記載されていますが、「アレンジャー」が行うアレンジメント業務が、信託契約代理業に該当するかどうかはグレーゾーンのようですね。現場レベルの世界と、改正信託業法が企図した信託ビジネスの世界とは、整合しないことがいくつかあるように思いました。改正信託業法が成立する前に、エクイティさんのために信託銀行と打合せをして、数十枚にわたる信託契約書をチェックした経験があります。そのアレンジメント業務の度合いによっては、今後は問題になりえます。会社としてアレンジメント業務を行うためのライセンスを取得するのがよいとは思いますが。